自分の仕事をつくる②

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考え方

・合理的であること、生産的であること、無駄がなく効率的に行われることを良しとする価値観の先にあるのは、極端に言えば全てのデザインがファーストフード化した、グローバリズム的世界だ。そのゲームから降りて、仕事の中に充実感を求める時、私たちには「時間」を手元に戻す工夫が求められる。

・大事なのはコンセプトの精緻化より、むしろスタッフ間のコンテクスト(共有知)を育むことにある。

・私たちは毎日、誰かがデザインしたものに囲まれて暮らしている。別の言い方をすれば、生きてゆくということは、いろんな人の仕事ぶりに24時間・365日接しつづけていることだと言える。そして、「こんなもんでいいや」という気持ちで作られたものは、「こんなもんで・・・」という感覚を、ジワジワジワと人々に伝える。私たちは事実としてその貧しさを生きている。モノが沢山あるにもかかわらず、豊かさの実感が希薄な理由の一つはここにあると思う。

普段何気なく目にしているものはきっと自分に無意識に影響しているのでは。目に入れるものから考えてみる。日頃から妥協しない方の作品に触れることから意識を当ててみる。

・こういうもの作ったらいいなあって思うことはあるけど、でも、やっていくうちに出てきちゃうんだよ。いろんな格好が出てくる。なんでも常にそう。イメージは最初からあるんじゃなくて、徐々に変化して固まっていくんだよね。その前は、ごちゃごちゃ。どんなモノが出てくるんだかわからないよ。

そうか。イメージが最初から固まってなくてもいいんだ。作りながら創造していく。こんなスタイルがいいな。

・どのような分野にも、技術進化の過程で起こる倒錯現象がある。目的と手段が入れ替わってしまう現象。一種のオタク化といっていい。写真を撮るべく機材を揃えるうちに、機材を集める行為そのものが目的性を持ち始めてしまうこと。生活を支えることが目的であるにもかかわらず、建築物としての美しさや、建築誌での扱われ方に気を取られてしまう建築家。優れた技術者は、技術そのものではなく、その先にかならず人間あるいは世界の有り様を見据えている。

・デザインしなければならないのは、モノそのもではなく、それを通じて得られる経験だ。色や形は、プロダクトの魅力の一部に過ぎない。そもそもデザインとは、コーヒーカップそのものではなくコーヒーを淹れて飲むことの幸せや、車そのものでなくドライビングの喜びを対象とする仕事だ。経験をデザインするということ。五感の豊さとは、人生の豊さでもある。

・結局のところ、課題をクリアーしてゆく唯一の方法は、何度も失敗を重ねることでしかない。他に方法はない。大切なのは、本当の問題を発見していく能力です。表面的に目につく問題点は、より根本的な問題が引き起こしている現象のひとつにすぎないことが多い。では、問題に深くアプローチしていく方法はなんでしょうか。それは、机の上で頭を捻って問題を予測することではない。早い段階から、可能な限り具体的にテストし、トライ&エラーを重ねていくこと。これに尽きる。

・私たちは、小さな失敗をできるだけ多く、具体的に重ねることに注力しています。そのことによって、限られた商品開発の期間内にデザインの完成度を上げることができる。

・頭の中で想像しているものを実際につくってみると、さらに進んだ発想ができる。開発の中で出来るだけ早い時間に試作を作り、問題点をあげておくことが重要だ。大きな問題は後になって発見されることが多いが、開発の最終段階では試作をつくるのが難しい。

・新しい世界をつくり出す新しい仕事は、新しい方法にやって行われる。その最初の姿は「失敗」だ。

・他の人の成功事例をマネすることが、成功への近道だった時代がありました。そうした時代には、決められた設問に正確な解を出す学者が有効だったのは事実です。しかし、他の人の成功事例をマネすることが、必ずしも自分の成功を約束するものではなくなったのが、今の時代です。昨日までの成功は、今日の成功を意味しません。そのような時代に大切なのは、やはり創造力です。そして創造力とは、新しいものをつくり出す力を意味している以上、失敗を避けて培えるものではありません。早い段階の失敗は、完成度を上げるステップのひとつであり、資産である。その経験を足掛かりに、つくり手は上のステージへ登ることができる。失敗から学ぶことで人の認識は深まり、モノは進化する。失敗は、まだ見えていない可能性を開く扉だ。